冷酷な王さまは愛し方を知らない
「リズがあの決断をしてくださらなければ、イリア王国はもうすでにコールド王国の支配下に置かれていたでしょう。そうなれば、事態はさらに深刻になっていました」
「アルさまを見たわ。戻ってこられたのね」
私がそう訪ねると、キースさんの表情が少しばかり和らぎ、強く頷いた。
キースさんも嬉しいのだろう。
「崖下で、狩りに来ていた村人に助けられたらしいのです。全身怪我を負っていて、治るまで身を隠させてもらっていたと言っていました」
「そうだったの。とてもいい人たちに助けていただいたのね」
「ええ。今回の奇襲にも一役買っていただいています」
「そうなの?」
驚いて顔をあげると、キースさんは頷いて微笑んだ。
「今までのアルさまなら、村人がそのように手を貸してくださることはなかったでしょう。アルさまも変わられたのです。それは、きっとリズあなたのおかげです」
「私・・・?」