冷酷な王さまは愛し方を知らない
「リズ!」
「アルさま・・・!」
近づくアルさまが私に気づき、走りながら叫ぶ。
アルさまは身に付けた鎧を脱ぎ捨てて身軽になった状態で私を強く抱き締めてくれた。
強く、強く、確かるように。
私も同じように、アルさまの温もりを確かめるように抱き返した。
溢れる涙が止められない。
溢れる嗚咽がしゃくりあげ、アルさまの帰りを喜んでいる。
「リズ・・・、リズ・・・。大馬鹿者が! 無茶なことをして、なぜ、なぜ・・・」
「ごめんなさい、アルさま。私、私・・・っ」
「すまない。王妃として、皆を守ってくれたというのに。だが俺は、悲しかったのだ。お前が敵国にいったと知り、王妃として迎えられたのだと知り・・・・・・」
「はい。心配をかけて、申し訳ありません。ですが、どこにいても私の心も体もアルさまのもの。誰のものにもなりません」
強くそう告げた。
体を少し話したアルさまが大切なものに触れるように頬に触れてくれる。
私はそれに甘えるように目を閉じた。