冷酷な王さまは愛し方を知らない
「ほら、さっさと帰って仕事しなよ。忙しいんでしょ」
「…ったく。いい加減親を安心させるという考えはお前にはないのかね」
「結婚すれば安心だなんて、安易なのもどうかと思うけどね」
追い出されるようにして帰っていくゼスおじさん。
可愛そうな気もするけど…、結婚なんてせっつかれてするようなものでもない。
王族とか、貴族とか位の高い人たちは政略結婚が主流だって言っても、庶民である私たちには関係のない話。
庶民の中では恋愛結婚がもっぱらの主流だ。
「結婚か…」
「なに、リズは興味あるの?」
「えっ!い、いえ…。まぁ、いずれそういう方と出会えたら…。でも、今はそう言うのは…」
「でしょう?結婚したいと思えばいつでもするわよ。ねぇ」
サーシャさんは、しようと思えば本当にいつでもできそうだけど。
器量もなければスタイルもよくない私は、そう簡単にはいかないだろうけれど。