冷酷な王さまは愛し方を知らない
「え…、ですが、王さまが別人だとおっしゃったではないですか…」
あの時の事は知られたくないのだと。
そうじゃなかったのかしら。
「それは…。あの時はあの時だ。今はいいと言っている」
「そんな…」
なんて勝手なと思う。
「あ、あの…。こんな事を王さまに向かっては、失礼かもしれませんが…。今回の件、辞退させていただけませんか?」
キースさんに言ってだめなら、王さま直々に言ってみてはどうだろう。
恐れ多いことだけれど、こんな風に話せている機会に。
王さまだって、本意ではないようだった。
ならば、別に辞退しようが構わないだろう。
「だめだ」
「え…、どうしてですか?」
でも、想っていた返事とは違う返事が返ってきた。