冷酷な王さまは愛し方を知らない
あれからーーー。
ゴールド王国は、イリア王国の支配下となった。
ゴールド王国の騎士たちも、誰も歯向かうことなくイリア王国の騎士となり共に働き始めている。
虐げられていた国民たちは、前国王の支配から解き放たれ皆喜びに満ち溢れている。
アルさまも何度も自ら赴き、国民を励ましながら再建の道を手助けしている。
そのため、アルさまは城を空けることも多く、忙しくなかなか会えない日々も多い。
でも、それがアルさまの選んだ道なのだから。
アルさまが成し遂げたいことなのだから、私は応援すると決めた。
国をよくする。
それは、私と愛すべきこの子の幸せにも繋がるのだから。
「リズ。体に障る。そろそろ中に入った方がいい」
「ええ。ごめんなさい」
「なにを見てた?」
私はバルコニーに出て、城下そしてその先を眺めていた。
私をさがしに来てくれたコハクに笑いかけて答えた。
「この向こうでアルさまが頑張っているのだなと思って」
「ああ、確かにこの方向だ」