冷酷な王さまは愛し方を知らない


コハクも、相変わらず私の側にいてくれる。
アルさまの命で騎士たちの手伝いとして任務につくこともあるが、基本的には私の側仕えとして側にいるのだ。

コハク曰く、目を離すとなにをしでかすかわからない。らしい。
コハクになにも言わずコールド王国にいくことを決めてしまったことを相変わらず根に持っているらしい。


「アルもそろそろ戻ってくるはず」

「ええ。だから、帰ってくる姿が見えないかなって」

「でも、もうダメ。最近もう寒い」

「ええ。コハクもすっかり過保護になってしまったわね」


ただ、お金のために働いていたコハク。
お金をもらえばなんだってしていた。
感情もなく、心もなく、そんなコハクが人の心配をしている。

人は変わるものだとつくづく思う。
それは、アルさまもそうだ。
きっと、今のアルさまを冷酷だという人はどこにもいないだろう。

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