冷酷な王さまは愛し方を知らない
ただの花屋の庶民だった私が、アルさまと出会って恋に落ちた。
まさか自分が王妃になる未来なんて、考えたこともなかった。
いつか、素敵な人に出会ってごく普通に結婚をして子供ができて。
そんな平凡な未来を思い描いてた。
でも、今。
私はとんでもない幸せの道の途中にいる。
私のことを大切に思ってくれる支えてくれる仲間たちがいる。
愛してくれる両親がいる。
そして、家族になってくれた愛すべき人がいる。
私に新しい家族を与えてくれた人。
「リズ! 帰ったぞ!」
「アルさま!」
その声を聞けば。
その姿を見れば。
一瞬で心が満たされる。
重くなった体をゆっくりと進めながら、駆け寄ってくれるアルさまの笑顔を目に焼き付ける。