冷酷な王さまは愛し方を知らない
「きっと、リズにしかできないことだと思う」
「え…?」
意味深な言葉。
よくわからない。
私にしかできないって…?
クリスさんは、なにを知っているんだろう。
なにを、言っているんだろう。
「でも私は…、帰りたいんです」
「とりあえずは3か月。アルさまの事を知ってみてほしい」
「三か月…」
「聞いてない?今回の件、3か月っていう期限がちゃんとあるんだよ」
聞いてません!
そんな大事なこと…キースさんは何も言っていなかった。
期限があるなんて…。
期限があるのなら、終わりがちゃんとはっきりと決まっているのなら…。
「3か月なら…」
王さまを知る。
それは、この先この国で生きていくのにも、いいことかもしれない。
本当に冷酷な王さまなのか。
クリスさんの言うような不器用で口下手な、いい人、なのか。
見極めることくらいはできるかもしれない。
王さまにあんな口を叩いたのだもの、そんな私が選ばれることはないのだし。