冷酷な王さまは愛し方を知らない
「サーシャさんには会いに行っているんですか?」
「いや、任務の方が忙しく休みが取れないからね…」
「休みが取れた時に来られてたから不定期だったんですね」
「ああ」
謎が解けるといろんなことに納得がいく。
来る日も時間も定まっていないことも、ガタイがとてもいいことも。
私は他の町からやってきた商人か何かかと思っていたけれどまったく見当違いだったわけだ。
クリスさんと私は、あれから時間がある時にこうして話をしている。
見知った人のいないこの場所で、唯一の落ち着ける時間になっている。
「アルさまとの時間は取れたのかい?」
「いえ。公務の方が忙しいからと、結局一度も…」
最初の話では一日一度はって感じだったけれど、急に慌ただしくバタバタしている様でその話もうやむやになっている。
私としては、問題はないのだけど。