冷酷な王さまは愛し方を知らない
一日数分掛ける三人分も時間が取れないほどの多忙。
候補者選びが、王さまの負担になっているんじゃないのだろうか。
「王さまってお忙しいのね」
「そりゃあね。外交やら公務やら、書類仕事まであらゆる仕事がある」
「うわぁ」
なんだかウンザリしそう。
国を守るものとして、それが当然なのかもしれないけれど。
王さまの手にこの国の未来がかかっているのだから。
そう考えると、ものすごい大きなものを背負っているのだ。
「でも、今回の任務はすぐに落ち着くだろうから、明日にでもあるんじゃないかな」
「…なくても、問題はないのに」
「ははっ、まあそう言わずにさ」
クリスさんは王さまをとても慕っているように思える。
自分の主とも言える人だ、慕っていて当然なのだけど。
私にはその魅力がよくわからない。