冷酷な王さまは愛し方を知らない
私が知っているあの人は…。
お金で私を吊り上げようとした。
それはきっと本心で。
揺らぎない想いで。
私とは相いれない考えだ。
王族の考え方は庶民にはわからない。
「では、俺はこれで。任務があるんで」
「あ、ありがとうございます。クリスさんがいてくれてよかったです」
「それは嬉しいよ。また時間が開いたとき会いに来るよ」
「はい。サーシャさんにも会いに行ってくださいね」
「ああ」
クリスさんはそう言って笑って手を振っていってしまった。
いまだに想像できない。
クリスさんが剣を振るっている姿。
でも、紛れもなくクリスさんは騎士さまなのだ。
サーシャさんがこの事を知ったら、どう思うのだろう。