冷酷な王さまは愛し方を知らない
王さまは、私の強情さに呆れたのかそれ以上何も言わず静かに目を閉じた。
綺麗な寝顔。
サラサラとした金色の長い髪。
太陽みたいでとても綺麗。
冷酷非道の王さま…か。
戦も先陣を切って戦う、血に染まる王さま。
まるで想像ができない。
この王都が戦場にならずにすんでいるのはそんな王さまがいるから。
きっと、そういうことなのだろう。
思わず見惚れてしまっていたことにハッとしながら、私は持っていた小説を開いて視線を落とした。
静かな時が流れる。
チラリとキースさんを盗み見れば、なにを思っているか知ることのできない表情でじっと佇んでいた。
キースさんも大変だ。
監視役は他にもいるのだろうけど…。
そんなにも、慎重に選ばなくてはいけないのだろうか。
王族は政略結婚が多いと聞く。
ならば、国を強めるための結びつきのための結婚をするのが主流なのだろう。
それはきっと、王さまの意志はほとんど関係なく国のため決められること。