冷酷な王さまは愛し方を知らない
悲しいこと。
でも、それは必要な事。
今回のこの件は、それとは違う。
王さまとの相性や、候補者の人となりを十分に考慮したうえで決めるってこと。
もし、それで私はともかく庶民であるミリアさんが選ばれたとしたら、庶民と王族の結婚は認められるものなのだろうか。
小説に視線を落としながらも、結局思考が止まらず小説の内容はほとんど頭に入らなかった。
「時間です」
キースさんの声にハッとすると、1時間丁度経っていた。
私は立ち上がるとベッドに近づく。
「王さま…王さま、お時間です」
いいものかと戸惑いながらも躊躇いがちに身体を揺すって起こす。
ちゃんと眠れたようでホッとする。
「…ん、俺は…眠っていたのか」
「はい、その様ですね。少しでも休めたようで安心しました」
私が笑ってそう言うと、王さまは少し眉を寄せながら起き上った。
そんなに眠っていたことが不思議なんだろうか。