冷酷な王さまは愛し方を知らない
「今日は、人を連れてきたんだ」
「人…?お客様が増えるのは大歓迎よ」
チラリとクリスさんが後ろを気にするように見る。
「じゃあ、リズはそのお客様のお相手をお願い」
「えっ、わ、私がですか?」
新規のお客様は、大体店主であるサーシャさんが受け持つことが多い。
でも、クリスさんが連れて来たお客様だからだろうか。
クリスさんは必ずサーシャさんが対応する。
クリスさんとサーシャさんは、昔からの知り合いのようだ。
それも、あまり詳しくは教えてもらっていないのだけど。
「あの、こんにちは」
そんな事を考えながら、入り口付近に立ちすくんでいる人に声をかけた。
その人がぐるっとこちらに振り向く。
「あ…」
綺麗な金色の髪の毛。
同じく金色の瞳。
一瞬で目を惹く。
綺麗だ、と。