冷酷な王さまは愛し方を知らない
私は考える暇もなく駆け出すと、アルさまの腕をとり肩に回し腰を支えた。
「…な」
「お部屋まで、肩をお貸しします。どうぞ身体を預けてください」
「必要ない」
「そんな怪我をしていて必要ないなんて嘘です!文句があるなら突き飛ばしてください。そんな力も、残っていないのでしょう?」
そんな確証はなかったけれど、必死に虚勢を張る。
無礼者だと切り捨てられるかもしれないと内心怯えながら。
それでも、手を差し伸べないわけにはいかなかった。
こんな怪我を負いながら一人で淡々と歩いて行かれるアルさまの背中を見て。
ああ彼は孤独なのだと気付いてしまったから。
誰も、この肩に手を差し伸べることができない。
キースさんでさえ。
きっと差し伸べたいはず。
それでも、きっと許されないのだ。
誰も寄せ付けようとしない、アルさまの雰囲気がきっとそうさせる。
冷酷だと言われる理由。
アルさまが、人を拒絶してる。