冷酷な王さまは愛し方を知らない


その男の人は、ハッとしたように慌てて着ていた服のフードをかぶってその金髪を隠してしまった。
綺麗だったのに、隠してしまうのはもったいない…。



「お花、お探しですか?」

「…いや。ただ、暇つぶしについてきただけだ」




ぶっきら棒なその言い方。
照れ屋の方なのかしら。



「お花に興味は?」

「ない。花など、何の足しにもならん」




ばっさりと切り捨てられる。
そんな風に思う人も、いるのは理解できる。
確かに花ではお腹は満たされないし、生きていくために必ずしも必要かと言われたらそうではないだろう。
きっと優先される物は他にたくさんあって。


それでも、花というのは人の心を穏やかにしたり落ち着かせたり、時には何よりも代えがたい幸せをくれたりする。
それは、花を贈ってくれる人の想いだったり、優しさだったりのその証なのだ。



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