冷酷な王さまは愛し方を知らない
「ドレスが汚れるぞ」
「…弁償いたします」
「ふっ、お前に弁償できるものか」
「一生をかけてでも、返します」
一番シンプルなドレス。
それでも、きっと私には手が出せないほどのドレス。
それが汚れることなんて、気にしている時じゃなかったもの。
「ドレスなんかより、アルさまを支えることの方が大事です」
「俺が身体を本当に預けたら、お前はつぶれるのにか」
「つぶれませんよ。なにがなんでも支えますから!」
支えると言っても、アルさまが言った通り本当に体を預けてはくれていない。
私とアルさまの身長差ではうまく支えられないのが現実だ。
「…俺の自室まで頼んだ」
「はい。お任せください」
アルさまは、諦めたのかどうなのか、そういって私の肩に腕を預けたまま歩き続ける。
少しだけそのことにホッと息を吐いて私は必死にアルさまを支え続けた。