冷酷な王さまは愛し方を知らない
自分に余裕がなければ、買おうとは思わないものでもある。
「金が必要で働くのなら、選ぶ職も考えた方がいいだろう」
「それは……」
「金よりも、やりがいを取ったという事だろう」
厳しい言葉。
でも、正しいのかもしれない。
私は花が好きでこの職を選んだ。
同じ時間働くのでも、きっともっと稼げる仕事は他にたくさんあるだろう。
それでも、その仕事を選んだのは…。
私は、家族のためではなく自分のために働いているということになるんだろうか…。
今まで自分では思い至らなかったことを突きつけられ、現実に打ちひしがれる。
「それほどの魅力が、花に……おい」
「え…」
「なにを泣くことがある」
「…え?」
ギョッとしたようなアルさまの顔。
私は不思議に思いながら頬に手をやるとそこはなぜか濡れていた。
なぜ…?
慌ててその涙を拭う。
泣くことなんてない。
自分が考えいたらなかっただけで、それはきっと事実で。