冷酷な王さまは愛し方を知らない
「あの、私リズといいます。お名前は…?」
「…、あ、アルでいい」
「アルさん…。あの、もしよかったらこの鉢もらっていただけませんか?」
私は、カウンターの上に飾っていた小さな鉢植えを持ってくる。
これは私が買って、ここで育てていた花だ。
小さな赤い花をたくさんつける可愛らしい花。
その可愛らしさからは考えられないほど強くてたくましい花でもある。
多少水をやるのを忘れていても、なかなか枯れることはなく。
手入れもとても簡単なのだ。
「花などいらん。枯らすだけだ」
「たまに思い出した時に水をあげてください。それだけでいいのです」
「それをもらったところで、俺は花を好きになんかならないし、もうここにだって来ることはないだろう。お前になんのメリットがある」
「メリットなど求めてません。ただ、アルさんに少しだけでもお花の事知ってほしいだけなんです」
押し付けがましいとわかっていても。
私は、お花たちに救われた。