冷酷な王さまは愛し方を知らない
次の日、予定の時間になると私はアルさまを連れて中庭に出ていた。
そこは以前アルさまとお会いした花に囲まれた場所。
本当は城外に出れたらよかったのだけれど、1時間という時間制限がある上にいろいろと手続きが大変と言っていたし今回は手近な場所でとここに決めた。
丁度ここにはおあつらえ向きにベンチもある。
今は気候も良く、外に出ていても汗をかくことも寒さに震えることもない。
キースさんは少し離れたところで待機をしている。
「こんなところでなにをするのだ」
「ピクニックをしたかったのですが、今回はここで」
「ピクニック?」
「はい。キッチンをお借りして今朝サンドウィッチを作ってきたのです。ちょうどお昼時ですから、一緒に食べませんか?」
朝早く起き、頼みこんで借りたキッチンと食材でサンドウィッチを作った。
それに合うスープも一緒に。
家で料理をするのはもっぱら私だから、料理には自信がある。
それでも、いいものを食べ慣れているアルさまの舌を喜ばせることができるかは不安だけれど。