冷酷な王さまは愛し方を知らない


「はい、どうぞ」

「…チッ」



アルさんは、舌打ちをすると袋に入れたその花を少し乱暴に受け取ってくれた。
そのことにホッとする。



「じゃあ、サーシャ。また来るよ」

「あ、クリスさん。おかえりですか?」

「ああ。そろそろ、待ちくたびれて暴れ出す頃だろうから」

「え?」

「じゃあ、またね、リズ」

「はい。またいらしてください」



クリスさんは、そういって爽やかに手を振りながらアルさんの背中を押すように店を出て行った。
クリスさん…。
とても不思議な人。

さっきのアルさんも。



「どんな人だったんだい?お連れさん」

「とても綺麗な金髪の男性でした」

「金髪?へぇ。花は売れた?」

「いえ、すみません。あまり花に興味がないみたいで…。なので、少しでも興味を持ってもらいたくて、Red dropsの鉢をあげたんですけど…」

「あれ、あげたの?リズ、大切にしてたじゃない」



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