冷酷な王さまは愛し方を知らない
他の候補者の方と合流し、昼食をとる広間まで移動する。
堂々と背筋を伸ばし綺麗な出で立ちのシイナさま。
ルナさまも同じく気品が溢れている。
同じ庶民だというのに、ミリアさんもスタイルのいい身体はドレスをきちんと着こなしていて。
私だけがなんだか不恰好で。
「アルヴィン様…」
先頭をアルていたシイナさまが呟く。
こういう時にはやっぱりさまをつけて呼ぶんだ…。
そう思いながら顔をあげるとアルさまがこちらに向かって歩いてきていた。
どこかに向かう途中だろうか。
「ごきげんよう」
「ごきげんよう!」
口々に挨拶をする。
私も慌てて声をそろえた。
アルさまはたくさんの従者を連れ堂々とした出で立ちで歩いてくる。
声には出さなかったが、ちらりとこちらを気にした様子が見られた。
「おい…」
私たちの横を通り過ぎる時、不意に声が聞こえた。
アルさまの声。
誰を呼んでいるのだろう。