ラブの苦手
吼児だった。
その隣には、やはり朝練を終えた拓也がいた。
「あっ、おはよう。吼児君、上田君。」
「ラブ、どうしたの?何か考え事をしてたみたいだけど…。」
拓也が聞いた。
ラブのクラスでは、愛子のことをラブと呼んでいた。
これは、吼児がラブと呼んでからのことである。
「なっ、何でもないの。」
ラブは、急いで教室の中に入って行ってしまった。
「吼児。今ラブの顔、赤くなかったか?」
「うん、赤かったみたい…。」
「どうしたんだろうな…。」
吼児と拓也も、教室に入った。

ラブの席は、窓側の一番後ろで、横は吼児だった。
ラブは、朝の出来事を考えていて、授業もうわの空になってしまった。
そんなラブを見ていて、休み時間にやはり気になって吼児が声をかけた。
「ラブ、本当にどうしたの?ラブらしくないよ。一人で悩むなんて…。」
吼児がラブの机に手をついて言った。
「本当に、どうしたんだよ。」
吼児の肩に腕を置いて、拓也も話しかけた。
「吼児君…、上田君…。ごめんなさい、心配かけちゃって。」
ラブは、二人の顔を見て言った。
「悩みがあるなら言ってみな。」
拓也が、ラブの顔を覗き込んで言う。
当然、ラブの顔は真っ赤になる。
「本当に…、本当に何でもないの。上田君、ごめんなさい。」
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