うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
二十五歳を過ぎた頃から、同じようなことを何度か聞かれてきた。

年頃になっても社会人になっても恋人の存在の気配を感じなかったから、心配してだと思う。

お父さんもお母さんも私が家のことばかりで、恋愛する余裕もないじゃないかと負い目を感じているようだけれど、実際は違う。

家のことをしていたって、恋愛はできた。それなのにこの歳になっても恋人の存在はおろか、誰かを好きになる感情がどういったものかさえわからないような、恋愛初心者。

歳を重ねていけば、いつか私も誰かを好きになると思っていた。

けれど高校時代も大学時代も、そして社会人になってからもいいなって思えるような人にも出会えていない。

一番下の九歳の妹にはもう既に彼氏がいるというのに……。

妹から恋バナをされた時は衝撃だった。そして思い知った。これまで私が恋愛できなかったのは家庭の事情なんかじゃない、私自身の問題なんだって。
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