うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「私も最初は失敗ばかりでした。料理など食べられたものではございませんでしたし。……ですが、すべて仕事と同じで、繰り返しやることで覚えていくものです。……いいじゃないですか、今はできなくても。これからできるようになればいいんです」

そうだよ、最初からなんでもスマートにできる人間などいない。誰もが失敗し挫折を繰り返しながら成長していくもの。

それが人間じゃないのかな。少なくとも私はそう思う。

だからちょっぴり安心している。会社では完璧な副社長にも、できないことがある普通の一面があったんだって。

「きっと副社長ならすぐできるようになると思いますよ」

コツを掴んだら、なんでもできちゃう気がするもの。

「日葵……」

すると彼にポツリと慣れない名前呼びをされ、咄嗟にことに胸の奥がまたむず痒くなる。

なんだろう、これ。彼と一緒にいると時々こうなる。胸が痛いというか、苦しいというか……何とも言えない感情。
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