うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
火を止めて、リビングから兄弟たちの声が聞こえてくるから廊下に出ながら尋ねると、隼人はムッとした声で言った。

『なんだよ、なにかなくちゃ連絡しちゃいけないわけ?』

「別にそんなことは言っていないでしょ? ただ、滅多に連絡してこない隼人から電話がきたら、つい身構えちゃうでしょ?」

クスクスと笑いながら話すと、隼人は弾む声で聞いてきた。

『いやー、この間実家に行ったら姉ちゃんがいないじゃん? それで母さんに聞いたら、彼氏のところだって言うからさ』

「それはっ……」

顔を見なくてもわかる。隼人の今の表情を。きっとニヤニヤしながら私の反応を予想して楽しんでいそう。

その姿を想像しちゃうと。何も言えなくなる。するとさっきとは打って変わり、優しいトーンで自分の想いを私に伝えてくれた。

『嬉しいよ、姉ちゃんがやっと恋愛する気になってくれて。……ずっと心配していたんだ。家族を大切に想う姉ちゃんのことを尊敬しているけど、そろそろ自分が幸せになってほしかったから』
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