うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「隼人……」

それは初めて聞く隼人の想いだった。

『だから俺も自分のことのように嬉しいよ。……今度、お祝いさせて。久し振りに食事でも行かない? 奢るからさ。……その時、相手のこと詳しく教えてよ』

奢るだなんて――。そうだよね、隼人も今では立派な社会人だもの。私より稼いでいるんじゃないかな。……いつまでも可愛い弟じゃないんだ。

「ありがとう、じゃあ高いお店探しておく」

『OK。姉ちゃんの好きなもの、なんでも奢ってやる』

副社長は本当に私のことが好きなのかわからない。もしかしたら好きって感情を勘違いしているだけかもしれないから。

私だって惹かれているとは自覚しているけれど、これが本当の好きって気持ちなのかは、自信を持って言えない。まだまだ曖昧な関係のままの私たち。

けれど隼人の気持ちは素直に嬉しく受け止め、食事に行く約束をして電話を切った。
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