うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
そんな私たちのやり取りを見て安心した社長は、「私はここで失礼する。食事はこちらからお願いするまで運ばないよう、伝えておこう」と言い、去っていった。

襖を閉めてふたりっきりになり、気まずい空気が流れる。

社長がさっきこちらから言わない限り、料理を運ばれて邪魔されることもない。だったらまずは座って落ち着こう。

先に腰を下ろすと、ワンテンポ遅れて副社長も向かい合う形で座った。

しかしながら彼から口を開こうとしない。これはいよいよ、私と隼人の噂を真に受けているのかもしれない。

彼の誤解を解きたい一心で彼を見据えた。

「なにやら噂が流れているようで、副社長のお耳にも入ったかもしれませんが……」

噂のことを口にすると、副社長は肩をピクリと反応させた。それを見て、やっぱり彼は誤解しているのだと確信を持つ。だったらすぐに解かないと。

私の方を見ようとしない彼に、きっぱりと言い放った。
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