うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「聞けるわけないだろ? ……噂が本当でキミに仕事終わりにふたりっきりで食事に行くほどの相手ができたとしたら? 相手をキミが好きになったのなら? ……そうしたら俺は振られるわけだろう?」

顔を上げた彼は辛そうな表情で私を見つめくるものだから、胸がギューッと鷲掴みされたみたいに苦しくなる。

「キミと過ごした時間は短いが、俺にとっては幸せな毎日だった。そんな日々を急に失うことなど想像さえできない。……だから今はまだ聞きたくなかったし、別れを切り出され、みっともなくすがることがないよう、見合いをしてきっぱりキミを諦める準備をしようと思ったんだ」

諦める準備、だなんて……。随分と勝手な言い分にカチンときた。

「なんですか、諦める準備って。……私、一言も副社長に好きな相手ができたとも、別れてほしいとも言っておりませんよね? それなのに、なにを勝手に話しを進めていらっしゃるんですか」
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