うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
どうして私、彼の前で素直になれないんだろう。副社長に惹かれているのはたしかなことなのに……。

拳をギュッと握りしめ、なんて言おうか悩んでいると、次第に副社長の顔や耳も真っ赤に染まり、両手で顔を覆った。

「反則だ、そんな顔をするなんて」

「えっ?」

顔を覆ったまま副社長は言う。

「悪いが自惚れるぞ? ……自分の良い方向に。キミにとって俺は、少しは特別な存在になっているのだと」

言葉にして言われ、私の胸はトクンと鳴る。

否定なんてできないよ。だって副社長の言う通り、私にとって彼は特別な存在になっているのだから。

一緒にいると楽しくて、ふとした仕草や言葉にドキッとさせられ、彼の言動にイライラしてしまうのは、彼が特別な存在だからでしょ?

自覚するとますます恥ずかしくなる。けれど、伝えないと伝わらないこともあるはず。誤解をして暴走した彼なら尚更だ。

大きく胸を高鳴らせながら、真っ直ぐ彼を見据え伝えた。「自惚れてくださって、けっこうです」って。
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