うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
すると副社長は見ているこっちが蕩けてしまいそうなほど、甘い顔で笑うものだから、矢で射貫かれたように胸が痛んだ。

「そっか……よかった、嬉しい」

素直な想いを吐露する副社長。

私は彼ほど素直な気持ちを伝えられていないし、さっきも『自惚れてくださってけっこうです』なんて可愛げのない言い方をしてしまった。

それなのに私の言葉ひとつでこんなに喜んでくれるなんて――。

「料理、頂こうか?」

「あ、はい」

返事をすると副社長は席を立ち、料理を頼むため個室から出ていった。その瞬間、横に身体が崩れ落ち、両手を畳につき、しっかりと身体を支えた。

その間も胸は痛いほどギューギューに締め付けられている。

これがもしや、胸キュンってやつですか? いや、でもあんな蕩けるような笑顔でストレートな言葉を言われたら、誰だってドキドキしちゃうはず。

でもこんなに胸が苦しいほどドキドキしているのは、副社長のことが好きだから……? そう思わずにはいられなかった。
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