うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
きっと誰よりも廉二郎さんのことを心配しているのは社長だ。そばにいられず、力にもなれない現状にもどかしさを感じているはず。

私にできることなんて、なに一つないと思う。……でも社長の言う通り、支えることはできる。

「社長、顔をお上げください。……もちろん私は全力で廉二郎さんを支えさせていただきます」

しっかりと伝えると社長は顔を上げ、安堵した。

「ありがとう……! 廉二郎をよろしく頼む!」

「……はい」

彼の恋人として私にできる精いっぱいのことをしたい。強くそう願った。



その日の夕方、廉二郎さんと重役たちはたくさんの報道陣の前で、記者会見を開いた。私も会社に戻り、その様子を見守っていた。

深々と頭を下げ謝罪する彼の姿に、胸が痛くなる。

その日の就業時間終了間近、社内一斉に社内メールが送信された。

空気清浄機の不具合に関する対応マニュアルと、そしてそれに伴い、我が社は多額の負債を負うことを――
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