うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「日葵……」

私を見ると、どこかホッした顔をする彼に照れ臭くなる。

「すみません、連絡もナシに来ちゃって」

「いや、嬉しいよ。……ずっと会いたかったから」

そう言うと彼はバッグを放り、私を抱き寄せた。

久しぶりに彼のぬくもりに包まれ、幸せな気持ちで満たされる。

両手を彼の背中に回し、私も彼に抱き着いた。

「廉二郎さん……大丈夫ですか? 疲れていません? 無理していませんか?」

心配で抱きしめられたまま問うと、彼はクスクスと笑った。

「大丈夫。……それに日葵のおかげで元気出たから」

そしてさらにきつく抱きしめられ胸が鳴る。

ずっとこうしていたいけれど、時刻はもう二十二時過ぎ。

「廉二郎さん、ご飯は食べましたか? まだでしたら軽くなにか作りますよ」

「じゃあお願いしてもいいか?」

「もちろんです」

ゆっくりと身体は離される。

「作っている間に着替えてきてください」

「ありがとう」

早速作ろうとキッチンへ向かおうとしたとき、腕を引かれ引き留められた。

「えっ……」

振り返ると、唇に暖かな感触。
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