うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
触れるだけのキスはすぐに離れ、廉二郎さんは「着替えてくる」と言うと、寝室へ消えていった。

「びっ……くりした」

久しぶりのキスに戸惑いを隠せない。……でも嬉しくて顔がニヤける。

早く作ろう。急いでキッチンへ向かい、消化にいい野菜たっぷりのうどんを作った。

けれど作り終えても、いまだに廉二郎さんは着替えに行ったまま、寝室から出てこない。

もしかしたら、疲れて寝ちゃっているのかも。そう思い、そっと寝室に向かいドアを開けると電話中だった。

すぐに閉めようとしたけれど、聞こえてきた荒々しい声に手が止まる。

「あぁ、わかっている。そこはしっかり協議して対策を考えていくから」

相手は……重役だろうか。

「あぁ。……そんなことさせない。俺がなんとかする」

少しして電話を切ると、廉二郎さんは深いため息を漏らし、手にしていたスマホをベッドに投げ捨てた。

廉二郎さん……私の前では平気なフリしているけれど、全然平気なワケないよね。

そのまま彼は力なくベッドに腰掛けた。
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