うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
痛々しい姿を見ても、私にはなにもできないことが辛い。せめて私の前では弱音を吐いてほしいのに……。

苦しくて辛くて泣きそうになり、気づかれないようドアを閉めそのまま寄りかかった。

そして天井を仰ぎ、固く瞼を閉じる。

私が落ち込んでどうするの? 社長にも言われたじゃない、廉二郎さんを支えてほしいって。

私がしっかりしていれば、きっと廉二郎さんも弱音を零すかもしれない。私まで一緒になって悲しんでいたら、だめだよね。

一度大きく深呼吸をし笑顔を作ってドアをノックした。

「廉二郎さん、できました」

するとすぐにドアの向こうからは彼の声が聞こえてきた。

「悪い、すぐ行く」

「わかりました」

キッチンへ戻り、再度うどんを温め直す。
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