うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
それはつまり……? その答えを彼は力強い声で言った。

『もう日葵のいない人生は、俺には考えられないから。……だからもう少し待ってて』

「廉二郎さん……」

彼の想いが嬉しくて泣きそうになりながらも、「はい」と返事をした。

私も廉二郎さんと同じ。彼のいない人生なんて考えられない。よく何年も付き合って同じ時間を過ごして、そこで初めて結婚が見えてくると言うけれど、時間なんて関係ないよね。大切なのは気持ちでしょ?

「おやすみ」と挨拶を交わして電話を切った後も、幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。

大丈夫、なにがあってもきっとずっと廉二郎さんと一緒にいられるはず。スマホを胸の前でギュッとにぎりしめ、強く強く願った。



しかし自主回収の影響もあってか、軒並み好調だった自社製品の売れ行きは低迷。経営危機なのでは?と社内で囁かれるようになった。

社長がいまだ、退院の目途が立たないのも要因かもしれない。

周りがどう言おうと、私は私にできることをするのみ。この日も社長が入院している病院へと向かった。
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