うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
すると朱美さんは早速運ばれてきたカフェオレを飲む。その様子を窺いながら、私の頭の中はハートマークで埋め尽くされていた。

彼女が言っていた話ってなんだろう。……やっぱり廉二郎さんのこと? もしかして私と廉二郎さんの関係を知っている?

すると彼女はコップをテーブルに置き、鋭い眼差しを向け喧嘩腰で言ってきた。

「廉二郎から全部聞いた。……あなたと結婚を前提に付き合っているって。だから私と婚約するわけにはいかない、援助もいらないって」

廉二郎さんから聞いていた話だけれど、朱美さんから直接聞き、なにも言えなくなる。

すると彼女は苛立った様子で畳み掛けてきた。

「私はあなたが廉二郎と出会うずっと前から彼のことを知っているの。昔から廉二郎は恋愛に興味がなくて、結婚も父親が決めた人とするって言っていた。だから私は彼が一人前になるまで待っていたのに、どうしてあなたなの? 今、彼に必要なのはあなたじゃない。私でしょ?」

彼女の言葉が鋭い矢として心に深く突き刺さる。
< 273 / 330 >

この作品をシェア

pagetop