うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
ずっとモヤモヤしていた。廉二郎さんが好き。これから先もずっと一緒にいたい。でも本当に私がずっとそばにいてもいいのかなって。

私には弱音を吐いてくれない。……でも朱美さんには違うのかもしれない。昔から気心が知れているからこそ、彼女には愚痴を零しているのかも。

私には会社のピンチを救うことなどできない。……でも朱美さんは違う。

廉二郎さんが朱美さんと婚約をしたら、すべてがうまくいく。

それに彼女と一緒になった方が、彼も社長も幸せになれるんじゃないのかな。

なにも言えない私に、朱美さんは責め立ててきた。

「本気で廉二郎のことが好きなら、身を引くべき。そうすればすべてうまくいくんだから」

「……っ!」

その通りだと思う。私がいなければすべてうまくいくんだ。

頭ではそう理解していても、心がそれを許さない。だって私は廉二郎さんのことが好きだから。
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