うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
『実は今週末、隼人が彼女を連れて来ることになっているの。結婚を前提に付き合っている相手ですもの、家族全員で出迎えたいじゃない? ……だから日葵、帰ってこられない?』

帰る……東京の実家に?

動揺し、すぐに返事をすることができない。

それというのもずっと都内の実家に帰ることができずにいた。もしかしたらどこかで、廉二郎さんと会ってしまうかもしれないと思うと、怖くて帰ることができなかった。

『どうかな。……帰ってこない?』

「お母さん……」

大きく心が揺れる。

でもこれはいい機会なのかもしれない。だってもう廉二郎さんと別れて一年が経っている。

いい加減前に進まないと。少しずつでも廉二郎さんを忘れる準備をしないとだよね。それに隼人の彼女とも会いたい。

「……わかった、帰るよ」
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