うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
なにもこんな高そうなところを予約してくれなくても、前もって言ってくれたら洋服持ってきたのに……。

そう思いながらも、隼人の気遣いが嬉しい。ここは素直に甘えることにしよう。

それに隼人の彼女に変な格好では会えないし。

けれど店員にメイクを施され、さらには髪をセットしてもらい。……最後に着せてもらったのは赤い振袖着物。

「あ、あの本当にこれで合っているんですよね?」

着せられながら疑問に思い尋ねるものの、店員はニッコリ微笑む。

「はい、こちらで承っております」

「そう、ですか……」

そう言われてはこれ以上なにも言えなくなる。着物を着せてもらうと、隼人の姿はなく、店員に「こちらへどうぞ」と案内されるがままついていくしかできない。

みんな洋装なのに私だけ着物っておかしいよね? やっぱり間違っていない? それとも隼人のいたずらとか?

戸惑いながらも案内された先はある部屋の前。

「どうぞこちらへ。皆様お待ちでございます」

「……はい」
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