うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
すると廉二郎さんは私からスケジュール帳を奪って閉じた。

「あっ……」

思わず奪われていく手帳を目で追うと、口角を上げ微笑む彼と視線がかち合う。

「まさか日葵、ひとりで結婚式を挙げると思っているのか?」

「――え?」

そう言うと廉二郎さんはそっと私の身体を抱き寄せた。お風呂上りの彼の体温はいつもより高く、心地よいぬくもりに胸がキューっと締めつけられる。

「ふたりの結婚式だろ? 全部一緒に準備を進めよう」

嬉しい言葉に胸が鳴る。でも――。

「廉二郎さんは仕事があるじゃないですか」

ただでなくとも毎日忙しいのに……。けれど彼は私の頭上で小さく息を漏らした。

「なに? 日葵は一生に一度の結婚式の準備を、俺に手伝わせないつもりなのか? 」

不満げな声に慌てて言った。

「だって大変じゃないですか? 仕事で疲れているのに、さらに結婚式の準備だなんて……」

「それは日葵も同じだろ? ……それに俺がやりたいんだ。日葵と一生忘れられない結婚式になるよう、一緒に頑張りたい」

「廉二郎さん……」
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