うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
話を聞いていた運転手も同意見なようで、運転しながら何度も頷いている。

すると社長は面白くなさそうに言った。

「えー、大丈夫だって。大物ほど私みたいな愉快な人が多いものだよ」

うっ……! 社長が社長だけにあり得そう。いやいや、それでもやはりだめだ。なにより新郎の父親が余興やるなんて聞いたことがない。

「とにかく大丈夫ですので」

「つまらないなぁ。せっかくの廉二郎とキミの結婚式なのに」

「だからこそやらないでください。それに余興なら私の兄弟たちや、私と廉二郎さんの友人がやってくれると言っているので」

特に幼い兄弟たちがやる気充分で準備をしていると、お母さんから連絡があった。楽しみにしていてねと。

「そうか、あの可愛い子たちがなにかやってくれるのか。それは楽しみだな」

「……はい」

なにを披露してくれるのかはもちろん教えてもらえないけれど、頑張って練習している姿を想像するだけで和む。

「ならますます私もやらなくてはだろう! やはりどじょうすくいを……」

「けっこうです」

社長の声を遮り言うと、笑いながら「相変わらずつれないなぁ」なんて言う。
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