うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
胸をキュンとさせるセリフにフリーズしてしまう。

「……悪い」

廉二郎さんは自分で言ったくせに、顔も耳も赤く染めた。

「い、いいえ」

もう廉二郎さん、いい加減にしてください。胸キュンからの照れなんて、私を悶えさせるつもりですか?

不器用だけれど、時折こうやってストレートに気持ちをぶつけてくれるから困る。反応に困るもの。

でも嫌じゃない、むしろ嬉しい。彼の本音を聞かせてくれて。

いまだに顔を赤くして照れている廉二郎さん。そんな彼の隣にぴたりと寄り添い、彼の服の袖を掴んだ。

「じゃあ廉二郎さんが選んでくれますか? ……私に似合うドレスを」

周囲にスタッフがいないことを確認してから廉二郎さんに言うと、彼はさらに顔を真っ赤にさせた。

そして両手で顔を覆い「勘弁してくれ」と呟いて――。


それから目まぐるしく日々は過ぎていき、仕事の合間を縫って廉二郎さんとふたり……いや、時々社長も入れて三人で準備を進めていった。

「あっという間ねぇ、いよいよ明日が結婚式だなんて」

「そうだなぁ……」

< 320 / 330 >

この作品をシェア

pagetop