うぶ婚～一途な副社長からの溺愛がとまりません～
結婚式を明日に控え、今夜が結婚前、家族最後で食卓を囲む日。隼人も今夜は実家に泊まり、久しぶりに家族全員が揃っての夕食となった。

お母さんは私の好きな物ばかり作ってくれて、お父さんはずっと飲まずにとっておいた年代物のワインを開けている。

そして兄弟たちには、さっきから次々と自分のおかずを「あげるー！」と言いながら私のお皿に乗せてくれる。

みんなにそんなことされちゃったら、しんみりしてしまう。そして本当に私、廉二郎さんと結婚するんだって実感する。

大好きな人と結婚できるんだもの、幸せ以外の何物でもない。でもそれは、ずっと一緒だった家族と離れることを意味する。

当たり前のことなのに、切なくなるのはなぜだろう。

「でもよかったじゃん、姉ちゃんが行き遅れにならなくて」

「ちょっと隼人？」

センチメンタルな気分をぶち壊すように、隼人はからかい口調で言う。すると兄弟たちが、わらわらと質問してきた。

「隼人兄ちゃん、行き遅れってなにー？」

「日葵姉ちゃん、結婚式に遅れちゃうの？」

質問したり、心配する兄弟たちに隼人は言う。
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