うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
一歩、また一歩と向かう先は愛しい人のもと。

白のタキシード姿の廉二郎さんは、普段より格段にカッコイイ。

「廉二郎くん、日葵をよろしくお願いします」

「……はい!」

お父さんから離れ、大好きな彼の大きな手を取る。

「では誓いのキスを」

もう何度もキスを交わしてきたはずなのに、神様と大勢の人の前でするキスは緊張でいっぱいいっぱいになる。

けれど瞼を開けると、廉二郎さんが私を見つめていて、あぁ、私……本当に廉二郎さんのお嫁さんになれたんだって実感できる。

それからさらに緊張する中はじまった披露宴。前席には社長と親交のある大物たちがいて、落ち着かない。――でも。

「日葵、大丈夫か?」

披露宴の合間に何度も彼が気遣ってくれて、次第に緊張も解けていく。

それに久し振りに会う友達や、堀内さんたちに声を掛けられ、兄弟たちの一生懸命な可愛い余興に感動し。楽しい時間はあっという間に流れていった。

そして最後に私は、両親への感謝の手紙を読み上げていく。

「……お父さん、お母さん。今日まで私のことを育ててくれて本当にありがとう。私はふたりのもとに生まれてくることができて幸せでした。なにより大好きな兄弟をたくさん作ってくれてありがとう」

手紙を読み上げている途中、涙が溢れそうになり一度大きく深呼吸する。

するとマイクを持ってくれていた廉二郎さんが、「大丈夫だよ」と言うように優しく背中を撫でてくれた。
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