うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
散々口出ししていたのは社長ですよね? と言いたくなり、必死に言葉を飲み込んだけれど、すぐには納得できない。

「しかし社長、以前おっしゃっておりましたよね? 早くお孫さんのお顔が見たいと。世継ぎを作り安心させてほしいと。そちらのご心配は大丈夫なのですか?」

あれほど仕事中でもお構いなし散々言っていたのに。

すると社長はわざとらしく咳払いをした。

「それもだな、よく考えれば私はまだまだ若い! そう慌てずとも時期がくれば廉二郎も結婚し、可愛い孫を抱かせてくれるだろう」

「そう、ですか……」

腑に落ちないけれど、社長がそう言うのなら副社長にも結婚を急かすことはなくなるだろうし、そうなれば彼も焦って結婚することもないはず。

きっと本当に好きな人と結婚できるよね。

社長が急に手のひらを返したことには疑問が残るけれど、もしかしたら副社長が結婚することに対し、急に寂しく思ったのかもしれない。

副社長が結婚しちゃったら、親子といえど一緒に過ごす時間が減るわけだし。

あり得る理由に妙に納得してしまう。
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