うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
「そうとは知らず、差し出がましいことをしてしまい、申し訳ありませんでした」

花嫁候補のリストをそっと引き取ると、社長は手を左右に振る。

「いやいや、廉二郎を想ってのことだろう? 忙しいのにありがとう」

「……いいえ」

申し訳ないけれど、決して副社長のためを思っての行動ではない。自分のためだったから。

これでやっと副社長のことでモヤモヤすることなく、今まで通り仕事に打ち込めるはず。

「それでは失礼します」

一礼し、去ろうとする私を社長は呼び止めた。

「そうだ井上くん、来週の金曜日の夜は予定空いているかな?」

「特に予定はございませんが……」

そもそも私に仕事以外の予定などあまりない。

「そうか、それはよかった。実は会食に同席してほしいんだ。ほら、井上くんにも話しただろ? 今度うちと提携することになったサン電気の社長さんと会食することになってね。向こうも秘書同伴で来るから是非出席してくれると助かる」

「そういった理由でしたらもちろん出席させていただきます。会食場所の手配などはいかがなさいましょうか?」
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