うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
こちらでするのか、サン電気の秘書が手配してくれるのか、どちらだろうか。

尋ねるとなぜか社長はにっこり微笑んだ。

「それは大丈夫。向こうの秘書がすべて手配してくれるそうだから」

「そう、ですか……」

助かるけれど、すべて一任するのも申し訳なく思う。

「そういうわけで金曜日はよろしく頼むよ」

「はい、わかりました。……では」

今度こそ社長室を後にし、オフィスに戻ってすぐにスケジュール帳に書き込んだ。金曜日の夜、サン電気社長と会食と。



そして迎えた金曜日の夜。会食場所へ向かう車内でなぜか社長は私の服装を見て不満げな顔をされている。

「あの、この服ではまずかったでしょうか?」

会食にはこれまでに何度も出席したことがある。その度にスーツだったわけだけど、一度もダメ出しなどされたことはないんだけど……。

「いや、まずくはないよ。会食の席にぴったりな服装だ。……うん、さすがは井上くんだ」

「はぁ……」
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