うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
全然ぴったりだと思われていないような気がするのだけど。一体今日はどんな場所で会食の予定なのだろうか。

ある意味緊張しながらたどり着いた先は、なんてことない都内でも有名な割烹料理店。

「先方はもうお見えになっておりますよ」

女将に案内され、ライトアップされている立派な日本庭園を見渡しながら渡り廊下を歩いていく。

「どうぞこちらでございます」

丁寧に個室の襖を開けてくれた女将。

社長に続いて室内に入ると、そこにいたのはサン電気の社長と秘書ではなく、副社長ただひとりだった。

「え……副社長?」

驚きのあまり声が出てしまう。

どうしてここに副社長が? 入口で立ち尽くす私とは違い、社長は「待たせたな」と言いながら上機嫌。

そして固まる私に社長はしてやったり顔を見せた。

「今夜はふたりでゆっくりと食事を楽しんでくるといい。ここは私が出しておくから」

「えっ……あっ、社長!?」

状況が飲み込めていない私を残して、社長は颯爽と去っていく。
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