うぶ婚~一途な副社長からの溺愛がとまりません~
ちょっと待って、今日は会食じゃなかったの?てっきり私は仕事だとばかり……。それになぜ今さら社長は私と副社長を、ふたりで食事させようとするの?

結婚は焦らないって言っていたじゃない。副社長だってこの前、理解してくれたんじゃないの?

ゆっくりと視線を彼に向けると、副社長は申し訳なさそうに眉尻を下げた。

「とりあえず座ってくれないか? 立たれたままでは話しができない」

そう言われては座らないわけにはいかない。

「……失礼します」

おずおずと副社長と向かい合う形で正座をする。

「騙す形で来てもらい、申し訳ない。……どうしてももう一度、キミとゆっくり話がしたかったんだ」

ゆっくり話がしたかったって……もしかして今夜は社長が企んだことではなく、副社長が考えたことってことなの? 
でもなぜ?

混乱する頭。しかしちょうど料理が運ばれてきて話は一時中断に。

「まずはいただこう。……話はその後に」

「あ、はい……」

言われるがまま運ばれてくる料理に箸を伸ばすものの、味がよくわからない。
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